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いたばかりである。

 

また、大手船会社等、利用者側のECDISについての意見は概ね次のようである。

? 実用的なシステムとして完成すれば、操船者に利便性を提供し、安全運航につながるが、普及するのは先の話である。

? 電子海図の改補方法が未定であるが、インマルサットを利用した高価な改補データ伝送のメリットと必然性は無い。

? 全世界をカバーする公式に認定された電子海図の整備と供給体制が未確立。

? 一部の船会社では、IBS、ECDISを採用しているが、電子海図データはC−MAP等、私企業の製品である。

 

ECDIS整備に関する船会社の対応は、新規建造船には前向きであるが、既存の船舶への搭載には慎重な姿勢を示している。ECSは漁船を主にプロッタ機能を目線にいれ、装備意欲は旺盛なようである。装置の製造業者側からみると、電子海図の国際的な最新維持方式が未定であるのが気掛かりである。これがECDIS普及の足かせとなりかねない(ちなみに、日本の場合ENCの更新は水路通報から航海者が手入力で最新維持を実行している)。この他の問題として、1996年11月、電子海図の記録フォーマットS−57の修正がなされ、バージョン2.0からバージョン3.0に変更された。このバージョンアップは、ハードウエアの変更が必要なものであった。今後も、ハードウエアの変更を伴うような修正があると、機器製造者の姿勢が慎重になる場合も有り得る。

 

3. 情報の伝達手段

沿岸海域で、船舶に陸上から情報を伝達する手段として利用可能な無線通信機器・媒体を基準に船舶を分類すると、表3−1を得る。この表により船舶の種別ごとに考察してみる。

 

表3−1 情報の伝達手段から見た船舶の分類

 

(1) 外航商船、大型内航商船、遠洋・近海で操業する大型漁船等

沿岸における沿岸航行援助情報センターとの通信媒体は、仕組み船を除き、外国籍の船舶については国際VHF(Very High Frequency)無線電話が主で、インマルサットA・インマルサットBが従であろう。インマルサットの使用は、通信費用の関係から困難と考えられる。日本国籍の商船、漁船、外国籍であるが日本企業の仕組み船では、衛星船舶電話が主でインマルサットは従であろう。

2000年から供用が開始されるインマルサットPは有力な通信手段であるが、今の所サ

 

 

 

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