ECDIS整備に関する船会社の対応は、新規建造船には前向きであるが、既存の船舶への搭載には慎重な姿勢を示している。ECSは漁船を主にプロッタ機能を目線にいれ、装備意欲は旺盛なようである。装置の製造業者側からみると、電子海図の国際的な最新維持方式が未定であるのが気掛かりである。これがECDIS普及の足かせとなりかねない(ちなみに、日本の場合ENCの更新は水路通報から航海者が手入力で最新維持を実行している)。この他の問題として、1996年11月、電子海図の記録フォーマットS−57の修正がなされ、バージョン2.0からバージョン3.0に変更された。このバージョンアップは、ハードウエアの変更が必要なものであった。今後も、ハードウエアの変更を伴うような修正があると、機器製造者の姿勢が慎重になる場合も有り得る。